棺の種類と選び方|白木棺・布張棺・デザイン棺の特徴をやさしく解説

棺の種類と選び方|白木棺・布張棺・デザイン棺の特徴をやさしく解説

監修:三村 麻子(あなたを忘れない株式会社 代表取締役)

ご葬儀の準備の中で、棺選びは普段あまり触れる機会がないため「違いがよく分からない」「どれを選ぶのが普通なのだろう」と迷われる方が多い場面です。

実は棺にはさまざまな種類があり、素材・デザイン・雰囲気がそれぞれ異なります。最近では昔ながらの白木棺だけでなく、布張棺やデザイン棺、エコ棺など選択肢も広がってきました。

この記事では、代表的な棺の種類と特徴、現在の主流、ご家族が選ぶときの考え方、故人さまらしいお見送りのための視点まで、想送庵カノンの視点でやさしく整理してご案内します。

目次

棺は「故人さまの最後のお部屋」

白い布張棺の縁に白いゆりや菊が飾られ、内側に白い布が敷かれた様子
白い布で覆われた布張棺。現在のご葬儀ではもっとも多く選ばれています

単なる箱ではなくお見送りの時間を共にする場

棺は単なる箱ではありません。故人さまがお旅立ちまでの時間を過ごされる、最後のお部屋とも表現されます。

だからこそ、ご家族が「その人らしい」と感じられるものを選ばれるケースが多くなっています。価格やランクで決めるよりも、故人さまの人柄や雰囲気に合うかどうかを軸にお選びいただくのが、近年の自然な流れです。

現代は選択肢が広がっている

昔は白木棺が主流で、使われている材木と彫刻の豪華さで選びました。現代は布張棺・デザイン棺・エコ棺など、ご家族のお気持ちや故人さまのお好みに合わせて選んでいただける幅が広がっています。

棺は素材・サイズ・装飾によって幅広い種類があり、価格帯にも違いがあります。葬儀社の案内では、ご葬儀全体のご予算とのバランスを見ながら、いくつかの候補をご提案するのが一般的です。とはいえ、価格表だけを見て選ぶよりも、実際の見本帳や写真を見ていただき、雰囲気を確かめながらお選びになるほうが、後から「あの方らしい棺だった」と振り返れるお見送りに近づくのではないでしょうか。

白木棺(しらきかん)|昔ながらの厳かな棺

木目を生かしたシンプルなデザイン

白木棺は、その名のとおり白木の木目を生かしたシンプルなデザインの棺です。装飾を抑え、木の質感が伝わる仕上がりで、厳かで凜とした雰囲気があります。

現在の選ばれ方

以前は白木棺が主流でしたが、現在では家族葬の広がりや価値観の変化により、布張棺を選ばれるご家族が増えています。白木棺は「昔ながらの雰囲気を大切にしたい」「厳かに送り出したい」というお気持ちのご家族に選ばれることが多くなっています。

白木棺の素材には桐(きり)・檜(ひのき)・杉(すぎ)などが用いられることがあり、地域や葬儀社によって扱う木材が少しずつ異なります。木の香りが残るものもあり、自然素材ならではのやさしさを感じられる仕上がりです。古くから日本の葬送文化に寄り添ってきた棺として、今もご家族の心に静かに伝わる選択肢のひとつになっています。

布張棺(ぬのばりかん)|現代の主流

やわらかく温かみのある印象

現在、多くのご葬儀で選ばれているのが布張棺です。棺の表面に布が張られており、やわらかく温かみのある印象を持ちます。

色味の選択肢

色味も豊富で、故人さまの雰囲気やご家族のお好みに合わせてお選びいただけます。

  • 白:清潔感のあるベーシックな色味
  • 紫:落ち着いた品のある色味
  • ピンク:やさしくやわらかな印象
  • ベージュ系:自然で温かみのある印象

選ばれる理由

「やさしい雰囲気で送りたい」というお気持ちのご家族に選ばれることが多くあります。家族葬の落ち着いた空気感とも相性がよく、現代の主流となっています。

布張棺は、内装に上品な布があしらわれているものや、外装に淡い刺繍が施されたものなど、デザインのバリエーションも少しずつ広がってきました。家族葬の会場に置かれたときに、空間とやわらかく馴染むため、ご参列の方々も気持ちを落ち着けてお別れの時間を過ごしやすいといわれています。色味は故人さまのお好きだった色を軸に選ばれるご家族も増えており、お見送りの場面をより個性的に整える役割も果たしています。

デザイン棺・プリント棺|故人さまらしさを表現

絵柄・テーマの豊富さ

近年増えてきているのが、故人さまらしさを表現できるデザイン棺・プリント棺です。さまざまな絵柄が施されています。

  • 花柄(桜・薔薇・百合など)
  • 空・雲・自然風景
  • 海・水辺
  • 星空・宇宙
  • 紅葉や四季の風景

生前のお人柄に合わせて選ぶ

「お花が好きだった」「旅行が好きだった」「明るい人柄だった」など、生前のお人柄をイメージしながら選ばれるご家族が増えています。「その人らしいお見送りをしたい」というお気持ちを形にしやすい選択肢といえます。

デザイン棺は、白を基調にした落ち着いた絵柄から、四季の風景を表現したもの、星空や海など趣味の世界観を反映したものまで、年々表現の幅が広がっています。「派手すぎるのではないか」とためらわれる方もいらっしゃいますが、実物は写真のイメージよりも落ち着いて見えることが多く、ご葬儀の雰囲気を損なわずに故人さまらしさをそっと添える選び方として、家族葬との相性もよいとされています。

エコ棺・環境に配慮した棺

自然素材を使った環境配慮型

近年、自然素材を使った環境配慮型の棺も注目されています。再生紙・段ボール・植林素材などを用い、素材や加工に配慮することで環境負荷をできるだけ抑える考え方です。

まだ一般的ではないが今後広がる可能性

まだ広く普及している段階ではありませんが、サステナビリティへの関心の高まりとともに、選択肢のひとつとして今後少しずつ増えていく可能性があります。

海外では、欧米を中心にバイオ素材や柳(やなぎ)の編み込み素材を用いたエコ棺(バイオコフィン)の利用が広がりつつあります。日本ではまだ取り扱う葬儀社が限られていますが、ご生前から環境への配慮を大切にされていた方や、自然葬・樹木葬をご検討のご家族から、関心を寄せていただくことが少しずつ増えてきています。

棺選びの考え方|価格より「らしさ」を大切に

「正解」はない

ご家族の中には「高いものを選ばなければいけないのでは」「普通はどれを選ぶのか」と不安に感じられる方もいらっしゃいます。けれど、棺選びに正解はありません。

判断の軸

大切なのは、故人さまらしいか、ご家族が納得できるかということです。

  • 落ち着いた方だったからシンプルに白の布張棺で
  • お花が好きだったから華やかなものに
  • やさしい色が似合う方だったので布張棺の淡い色味で
  • シンプルが好きな方だったので白木棺で

葬儀社・安置施設に相談する

お気持ちを言葉で伝えていただくだけでも、葬儀社や安置施設の担当者から具体的なご提案が広がります。「やさしい印象にしたい」「故人さまの趣味を反映したい」など、感覚的な言葉でかまいません。

想送庵カノンからご家族へ

棺は故人さまが最後の時間を過ごす大切な場所です。どの棺が正しいかではなく、ご家族が「この方らしい」と思えることが何より大切です。

想送庵カノンは、東京都葛飾区で滞在型の安置施設を運営しています。安置の時間を一緒に過ごしながら、棺選びについてのご相談にもお応えしています。

ご家族のお気持ちを大切に、故人さまらしいお見送りの形を一緒に整えていけたらと願っています。

よくあるご質問(FAQ)

棺にはどんな種類がありますか?

代表的な種類は白木棺・布張棺・デザイン棺・エコ棺の4つです。白木棺は木目を生かした昔ながらの厳かな棺、布張棺はやわらかな印象の布張りの棺、デザイン棺は花柄や自然風景など故人さまらしさを表現した棺、エコ棺は自然素材を用いた環境配慮型の棺です。

現在もっとも多く選ばれている棺はどれですか?

布張棺(ぬのばりかん)です。家族葬の広がりや「やさしい雰囲気で送りたい」というお気持ちが増えたことを受け、白から紫・ピンク・ベージュなど色味の選べる布張棺が現代の主流となっています。白木棺は「昔ながらの厳かな雰囲気を大切にしたい」という方に選ばれています。

デザイン棺やプリント棺はどのような場面で選ばれますか?

故人さまの人柄や生前のお好みを表現したいご家族に選ばれることが増えています。「お花が好きだった」「旅行が好きだった」「明るい人柄だった」など、故人さまらしさを反映したお見送りの形として広がってきています。

棺を選ぶときに「これが正しい」という決まりはありますか?

正解はありません。価格の高い棺を選ぶことが正しいということもなく、ご家族が「故人さまらしい」「納得できる」と思えるものが何よりの基準です。落ち着いた方だったからシンプルに、お花が好きだったから華やかに――そうしたお気持ちを大切にしてお選びいただけます。

棺選びに迷ったときはどうしたらよいですか?

葬儀社や安置施設の担当者にお気持ちを伝えていただくのが安心です。「やさしい印象にしたい」「シンプルがよい」「故人さまの趣味を反映したい」などの言葉だけでも、具体的なご提案が広がります。実物を見て選べる場合もありますので、迷われた際はぜひご相談ください。

出典・参考資料

  • 全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)「棺の種類と選び方ガイド」
  • 鎌倉新書「いい葬儀」棺・装具に関する調査レポート
  • 日本能率協会総合研究所「葬儀サービスの環境配慮に関する調査」
  • 棺メーカー各社 公式案内

まとめ|棺は「故人さまらしさ」で選ぶ時代

  • 棺は故人さまがお旅立ちまでを過ごす最後のお部屋
  • 白木棺は木目を生かした昔ながらの厳かなデザイン
  • 布張棺はやわらかな印象で、現代の主流(白・紫・ピンク・ベージュ系など)
  • デザイン棺は花柄・自然風景などで故人さまらしさを表現できる
  • エコ棺は自然素材を用いた環境配慮型で、今後広がる可能性
  • 価格よりも「故人さまらしいか」「ご家族が納得できるか」が選び方の軸
  • 迷われたときは葬儀社・安置施設の担当者に気軽にご相談を
三村 麻子

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この記事の監修者

三村 麻子のアバター 三村 麻子 看取りの水先案内人

あなたを忘れない株式会社
代表取締役 三村 麻子(みむら あさこ)

<想送庵カノン(滞在型安置施設)の運営>
故人と家族が「最後に過ごす時間を大切にする」セレモニーホール

<専門学校>
東京ホスピタリティ・アカデミー
葬祭ディレクター学科 講師

<供養コンシェルジュ>
供養コンシェルジュ協会 理事/講師

<看取りサポートのパイオニア>
高齢者を支える家族に
「疲れない介護」「家族が幸せになる看取りと葬送」を提案。

【看取りの水先案内人として幅広く活動】
家族に深く寄り添う相談スタイルで、
生前のご相談から、お見送りのあとのグリーフケアまで
多数の相談実績と活動歴を持つ終活の専門家。

2004年に葬儀式場の運営に携わって以来、
葬送の現場に立ち続けている。
2019年には、安置と面会に重きを置いた施設として
想送庵カノンを開設。

<サポート内容>
生前整理、介護、葬儀、供養、遺品整理、グリーフケア

<著書>
・初めて喪主になる人のための親を心から見送る葬儀ガイド
・親が死んだ5分後にあなたがしなければならないこと
・離れて暮らす親と上手に付き合うための本
・親には一人暮らしをさせなさい
・親の老後に寄り添うために知っておきたいこと

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