高齢の親の資産と保険を見直す|介護前に確認したいポイント

親の介護の話シリーズ第5回 高齢の親の金融商品や保険を介護前に見直すポイントの記事アイキャッチ画像

監修:三村 麻子(あなたを忘れない株式会社 代表取締役)

親の介護を考えるとき、資産そのものの「金額」だけでなく、その資産が「いざというときに使える状態にあるか」を確認することが大切になってきます。

若いころに契約した保険、長年そのままになっている定期預金、複数の銀行に分かれた口座——これらを高齢期にそのまま放置していると、思わぬ不便やリスクにつながることがあります。

この記事では、親が高齢になったときに見直しておきたい預貯金・保険・不動産のポイントを、想送庵カノンの視点でやさしく整理します。年に一度、ご家族で確認する習慣のヒントとしてお読みいただければ幸いです。

目次

なぜ高齢期に金融商品・保険の見直しが必要なのか

3人が円卓を囲み現金や住宅、自動車、保険のアイコンに囲まれて高齢の親の資産と保険を見直す立体イラスト

生活と契約のミスマッチが起こりやすい

親が高齢になると、生活パターンや行動範囲、リスクの種類が若いころとは変わってきます。

契約当時は適切だった金融商品や保険が、高齢期には不便・過不足・リスク要因に変わることが少なくありません。たとえば、運転をやめたのに自動車保険の補償が手厚いまま、医療保険の保障内容が現状の医療制度と合っていない——といったケースです。

「年に一度の確認」を習慣にする

一度確認したら終わり、ではなく、年に一度のタイミングで見直すことが大切です。年金改定や健康状態の変化、家族構成の変化など、状況は毎年少しずつ変わっていきます。

預貯金・口座管理の見直しポイント

定期預金は満期後の扱いを確認する

定期預金は、満期時に自動延長されるケースが多くあります。

80歳前後になると窓口での解約手続きが負担になりやすく、本人だけでは難しくなることもあります。満期後は普通預金へ戻しておく方が、後々の柔軟性が高くなります。

口座数はシンプルに整理する

口座が多いと、相続発生時の手続きが煩雑になります。次のような方針で整理しておくと、後々の負担が減ります。

  • 近場の銀行支店で口座を開設
  • 年金受取口座・公共料金の口座を統一
  • 定期預金は総合口座へ

使っていない休眠口座や遠距離の支店口座は早めに解約

通帳・残高の定期チェックを習慣化

親に代わって通帳記入や残高報告書の確認をするだけでも、流動資産の実態を把握できます。年1回のペースで確認することをおすすめします。

保険の見直しで押さえる実務ポイント

契約内容を一覧化する

まずは、どの会社のどの契約に加入しているかを一覧化することから始まります。

  • 契約者・被保険者・受取人
  • 保障内容・保障額
  • 払込期間・満期
  • 保険証券の保管場所

死亡保険の請求漏れを防ぐ

死亡保険には請求権の時効(一般的に3年)があります。万が一の際に請求漏れが起こらないよう、契約一覧の作成と、保険証券の保管場所の共有を行っておきましょう。

高齢期の事故リスクと補償の見直し

高齢になると、思わぬ事故のリスクが上がります。次のような補償内容の確認が大切です。

  • 自動車保険:運転状況に合った内容か(年齢条件・運転者限定など)
  • 火災保険:建物・家財の補償額が現状に合っているか
  • 自転車保険:自治体によっては加入義務化されている地域も
  • 個人賠償責任保険(特約):自転車事故等で高額賠償が発生する可能性に備える

火災保険や自動車保険の特約として個人賠償責任保険がすでに付いていることもあるので、重複加入にならないよう保険証券を確認しましょう。

不動産・固定資産の確認ポイント

固定資産税通知書から評価額を把握

固定資産税の納税通知書には、土地・家屋の評価額が記載されています。これをもとに、不動産が資産全体のどれくらいを占めているかを把握しておきます。

現金化のしやすさを冷静に見極める

不動産は、すぐに現金化できる資産ではありません。売却・賃貸・リバースモーゲージなど、現金化の選択肢ごとに、想定される期間とコストを概算しておくことが大切です。

見直しの頻度と運用ルール

年1回の見直しをルーティン化

お金は流動的なものです。一度調べたら終わりではなく、年1回の確認をルーティン化することで、変化に気づきやすくなります。

家族の誕生月や年末年始など、覚えやすいタイミングをカレンダーに登録しておくのがおすすめです。

資産・書類の保管場所を記録しておく

資産一覧(預貯金・有価証券・保険・不動産)と、関連書類の保管場所を明示した一覧を作成・保管しておくと、いざというときに探す負担が減ります。

代理手続きの準備(委任・任意後見など)

判断力が低下したときに備え、家族カード・委任状・任意後見契約・家族信託など、代理手続きの仕組みを早めに検討しておくと安心です。法的手続きが必要なものは、専門家へ相談しながら進めましょう。

実務チェックリスト|すぐ使える確認項目

  • 預貯金(普通・定期)残高と口座一覧を作成したか
  • 年金受給額・入金スケジュールを把握したか
  • 保険契約(保険会社・契約内容・受取人)を一覧化したか
  • 個人賠償責任保険の有無を確認したか
  • 固定資産税通知書で不動産評価を確認したか
  • 各書類の保管場所を家族で共有しているか
  • 年1回の見直し日をカレンダーに設定したか

よくあるご質問(FAQ)

親の資産と保険の見直しは、いつから始めるとよいですか?

60代後半〜70代から始めるのが理想です。判断力・体力ともに余裕のあるうちに整理しておくことで、80歳前後の手続き負担を大きく減らせます。「まだ早い」と感じる時期から始めるのが、結果として一番スムーズです。

親が資産の話をしたがらない場合はどうすればよいですか?

「将来の介護期間に備えて、不自由な状況に陥らないために」と目的を伝え、通帳や保険証券の保管場所など、できる範囲から少しずつ確認するのがおすすめです。一度に全部把握しようとせず、年1回のペースで少しずつ進めると、親子双方の負担が軽くなります。

口座は本当に減らした方がよいのでしょうか?

はい、整理した方が管理や相続手続きがぐっと楽になります。生活費・年金受取・予備の3つ程度に絞るのがおすすめです。ただし定期預金やネット銀行など、解約時に手続きが煩雑なものは、本人の判断力があるうちに対応するのが安心です。

個人賠償責任保険は単独で加入すべきですか?

まずは既存の火災保険や自動車保険の特約として既に付いていないかを確認しましょう。重複加入を避けるためにも、保険証券で「個人賠償責任特約」の有無をチェックすることをおすすめします。

専門家に相談するタイミングはいつですか?

不動産・相続・任意後見など法的な判断が関わる場面では、早めに専門家へ相談するのがおすすめです。ファイナンシャルプランナー、司法書士、税理士など、内容に応じて適切な窓口が変わるので、想送庵カノンにご相談ください。それぞれの内容に見合った最適なプロの先生方をご紹介いたします。

まとめ|事実ベースで資産とリスクを把握する

  • 生活変化に合わせて、預貯金・保険・不動産は定期的に見直す
  • 定期預金は満期後の扱いを確認、口座は3つ程度にシンプル化
  • 保険は契約一覧化+特約の重複・不足チェックが基本
  • 不動産は評価額と現金化のしやすさを冷静に見極める
  • 年1回の確認+代理手続きの仕組みを早めに準備

漠然とした推測ではなく、現物の書類を基に事実を把握することが、何より確かな第一歩になります。少しずつでも整理を進めておくことで、いざというときに慌てずに対応できます。

想送庵カノン(東京都葛飾区立石)は、ご家族のお別れの時間を大切にする滞在型の安置施設です。介護のその先にある葬送のご相談も、ご家族のペースに合わせてお手伝いいたします。

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この記事の監修者

三村 麻子のアバター 三村 麻子 看取りの水先案内人

あなたを忘れない株式会社
代表取締役 三村 麻子(みむら あさこ)

<想送庵カノン(滞在型安置施設)の運営>
故人と家族が「最後に過ごす時間を大切にする」セレモニーホール

<専門学校>
東京ホスピタリティ・アカデミー
葬祭ディレクター学科 講師

<供養コンシェルジュ>
供養コンシェルジュ協会 理事/講師

<看取りサポートのパイオニア>
高齢者を支える家族に
「疲れない介護」「家族が幸せになる看取りと葬送」を提案。

【看取りの水先案内人として幅広く活動】
家族に深く寄り添う相談スタイルで、
生前のご相談から、お見送りのあとのグリーフケアまで
多数の相談実績と活動歴を持つ終活の専門家。

2004年に葬儀式場の運営に携わって以来、
葬送の現場に立ち続けている。
2019年には、安置と面会に重きを置いた施設として
想送庵カノンを開設。

<サポート内容>
生前整理、介護、葬儀、供養、遺品整理、グリーフケア

<著書>
・初めて喪主になる人のための親を心から見送る葬儀ガイド
・親が死んだ5分後にあなたがしなければならないこと
・離れて暮らす親と上手に付き合うための本
・親には一人暮らしをさせなさい
・親の老後に寄り添うために知っておきたいこと

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