介護資金はいくら必要?100歳まで安心して暮らす老後資金計画

親の介護の話シリーズ第3回 介護資金はいくら必要か100歳まで安心な老後資金計画の記事アイキャッチ画像

監修:三村 麻子(あなたを忘れない株式会社 代表取締役)

親の介護を考えるとき、多くのご家族が最初に直面する不安が「介護にいくらかかるのか」という資金面の問題ではないでしょうか。

施設の種類や介護度によって金額は大きく変わり、年金で足りるのか、貯蓄を取り崩すことになるのか——漠然とした不安だけが残りがちです。

この記事では、親の資産を3つに分けて整理する方法から、100歳までを前提にした費用の見積もり、そして年金を差し引いた「実際に準備すべき金額」の考え方まで、想送庵カノンの視点でやさしく整理します。ご家族のペースで、少しずつ全体像をつかんでいただけたら幸いです。

目次

まずは「親の資産」を3つに分けて整理する

明るいリビングにソファと車椅子が並ぶ、100歳まで安心して暮らす老後の介護生活をイメージした室内

現金・流動資産・不動産という3分類

介護資金の話を始める前に、まずは親の資産がどのような形で残っているかを把握することから始まります。整理のしかたとしておすすめなのが、次の3つに分ける方法です。

  • ① 現金(最も重要):年金収入、普通預金の残高など、すぐに使えるお金
  • ② 流動資産(現金化しやすい資産):有価証券・定期預金・国債・保険・貴金属など
  • ③ 不動産(現金化に時間がかかる資産):土地・家屋など

この3分類で整理することで、「いま手元で使えるお金はいくらか」「いざというときに動かせる資産はいくらか」が一目で見えるようになります。

「すぐ使えるお金」がいくらあるかを最優先で確認

介護資金として最も重要なのは、すぐ使える現金です。流動資産は数日〜数週間で現金化できる場合が多いものの、不動産は売却までに数ヶ月〜年単位の時間がかかることもあります。また、資産税、管理維持費などで有効活用されていない場合などは負の資産になることもあるので、要注意です。

まずは「現金+流動資産」で何ヶ月分の介護費用をまかなえるかを把握する

「100歳まで」を前提にした資金計画の考え方

長めに見積もることがご家族の安心につながる

寿命は誰にも予測できません。だからこそ、介護資金の計画は”最大限”に見積もっておくことが、結果としてご家族の安心につながります。

ここでは、100歳まで生きても資金が枯渇しないことを目標に組み立てる考え方をご紹介します。仮に実際は90歳でこの世を去ることになったとしても、余った分はそのまま遺産としてご家族に残せます。「足りないかもしれない」という不安を抱えるより、ずっと心が軽くなります。

20年間で約4,500万円|施設入居の費用イメージ

80歳から施設に入居し、100歳までの20年間を過ごすと仮定した場合、必要となる金額は、施設の種類や地域によって幅がありますが、ここでは1人あたり約4,500万円を例にとってみます。

  • 公的介護施設の利用料:月12万円 × 20年 = 約3,000万円
  • 生活費(食費以外):月4万円 × 20年 = 約1,000万円
  • 趣味・旅行・買い物・葬儀など:約500万円
  • 合計:約4,500万円

もちろん、これは一例にすぎません。在宅介護中心であれば施設費用は抑えられますし、民間の有料老人ホームを利用する場合は金額が上振れします。「自分の親のケースだとどうなるか」を考える出発点としてご活用ください。

年金収入を踏まえた「本当に準備すべき金額」

総額から年金収入を差し引いて考える

費用の総額を見ると一見大きな数字ですが、実際にご家族が備えるべき金額は、ここから年金収入の見込みを差し引いた残りの部分です。

たとえば親の年金収入が月10万円の場合、20年間の合計額は次のようになります。

  • 年金収入(20年分):月10万円 × 12ヶ月 × 20年 = 2,400万円
  • 必要総額 4,500万円 - 年金収入 2,400万円 = 約2,100万円

つまり、親一人あたり約2,100万円を現金または流動資産として確保しておけばよい、という見通しが立ちます。

数字にすると不安が「目安」に変わる

「いくら必要かわからない」という不安は、漠然としているからこそ大きく感じられるものです。実際に試算してみると、必要額は思っていたほどではなかった、あるいは早めに準備を始めればまだ十分間に合う、ということも少なくありません。

不安は「数字」にした瞬間、対応可能な目安に変わる

資金計画を立てるときの実践ステップ

① 親の資産・年金収入をリストアップ

まずは現状の把握です。預金通帳・年金振込口座・保険証券・株式の取引明細・不動産の固定資産税通知書などを集め、3分類でリスト化します。

② 想定する介護シナリオで総額を試算

「在宅で過ごし続ける」「途中から施設に入る」「最初から施設」など、いくつかのシナリオで試算しておくと、状況が変わっても対応しやすくなります。

③ 年金収入を差し引いた「準備すべき額」を算出

総額から年金収入の見込みを差し引いた金額が、ご家族で備えるべきおおよその目安です。

④ 不足が見込まれる場合は早めに対策

不足が見込まれるなら、流動資産の整理・不動産の活用方法(売却・賃貸・リバースモーゲージ等)・公的支援制度の活用などを早めに検討します。判断に迷う場合は、ファイナンシャルプランナーや社会福祉士への相談も有効です。

よくあるご質問(FAQ)

親の介護資金は、どれくらい用意しておけばよいのでしょうか?

一つの目安として、80歳から施設に入り100歳まで20年過ごす場合、1人あたり約4,500万円を見込むケースがあります。ただし年金収入で一定額をまかなえるため、実際にご家族で準備するのは差額の部分になります。お住まいの地域や施設の種類で大きく変わりますので、あくまで目安としてご活用ください。

親の資産は、どこから整理を始めればよいですか?

まずは「現金(預金・年金)」「流動資産(株・定期預金・国債・保険・貴金属)」「不動産」の3つに分けて把握すると整理しやすくなります。特にすぐ使える現金がどれくらいあるかが、介護資金を考えるうえで最も大切なポイントです。

100歳までを想定するのは大げさではないですか?

一見そう感じられるかもしれませんが、長めに見積もっておくことで「途中で足りなくなる」という不安を防ぐことができます。仮に90歳で亡くなっても、余った分はご家族に残すことができます。安心のための余白として捉えるのがおすすめです。

年金があれば、そこまで心配しなくても大丈夫ですか?

年金は大きな支えになりますが、すべての介護費用をまかなえるとは限りません。「総額の見込み」から「年金収入の見込み」を引いた差額が、ご家族で備えるべき金額の目安になります。一度試算しておくと安心です。

家や土地があれば、いざというとき安心ですよね?

心強い資産ではありますが、不動産はすぐに現金化しにくい性質を持っています。売却や賃貸でいつ・いくらにできるかは状況次第です。「現金として使えるのか」「使えるまでに時間がかかるのか」を分けて考えておくと安心につながります。

まとめ|介護資金は「全体像 → 差額」の順に考える

  • 親の資産は「現金/流動資産/不動産」の3分類で整理する
  • 100歳までを前提に、長めに費用を見積もっておくと安心
  • 20年間の施設入居で約4,500万円を一つの目安として捉える
  • 総額から年金収入を差し引いた「差額」が、ご家族で準備すべき金額
  • 数字にすることで、漠然とした不安は対応可能な目安に変わる

介護資金の準備は、いきなり大きな金額を用意することではなく、現状を「見える化」するところから始まります。少しずつでも進めておくことで、いざというときの選択肢が広がります。

想送庵カノン(東京都葛飾区立石)は、滞在型の安置施設として、ご家族のお別れの時間を大切にする施設です。介護のその先にある葬送のご相談も、ご家族のペースに合わせてお手伝いいたします。気になることがあれば、どうぞお気軽にお声がけください。

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この記事の監修者

三村 麻子のアバター 三村 麻子 看取りの水先案内人

あなたを忘れない株式会社
代表取締役 三村 麻子(みむら あさこ)

<想送庵カノン(滞在型安置施設)の運営>
故人と家族が「最後に過ごす時間を大切にする」セレモニーホール

<専門学校>
東京ホスピタリティ・アカデミー
葬祭ディレクター学科 講師

<供養コンシェルジュ>
供養コンシェルジュ協会 理事/講師

<看取りサポートのパイオニア>
高齢者を支える家族に
「疲れない介護」「家族が幸せになる看取りと葬送」を提案。

【看取りの水先案内人として幅広く活動】
家族に深く寄り添う相談スタイルで、
生前のご相談から、お見送りのあとのグリーフケアまで
多数の相談実績と活動歴を持つ終活の専門家。

2004年に葬儀式場の運営に携わって以来、
葬送の現場に立ち続けている。
2019年には、安置と面会に重きを置いた施設として
想送庵カノンを開設。

<サポート内容>
生前整理、介護、葬儀、供養、遺品整理、グリーフケア

<著書>
・初めて喪主になる人のための親を心から見送る葬儀ガイド
・親が死んだ5分後にあなたがしなければならないこと
・離れて暮らす親と上手に付き合うための本
・親には一人暮らしをさせなさい
・親の老後に寄り添うために知っておきたいこと

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