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監修:三村 麻子(あなたを忘れない株式会社 代表取締役)
葬儀のあとで「もっとこうすればよかった」というお気持ちが残ってしまう——そうしたご相談を、私たちは数多くお受けしてきました。なぜ葬儀では、これほど後悔が生まれやすいのでしょうか。
この記事では、旅行や塾選びといった日常の意思決定と比較しながら、葬儀が事前に考えられない3つの理由を整理します。そのうえで、「葬儀社任せ」になってしまうリスクと、いま出来る小さな備えについて、ご家族の視点でお伝えしていきます。

あなたは旅行に行かれるとき、どのような計画を立てるでしょう。
誰と行くか(ご家族・ご友人・職場の方)、何人で行くか(一人旅・少人数・大人数)、何をするか(レジャー・休養・お仕事)——いろいろなケースが考えられます。今日、誰とどこで何をするのかも分からないまま旅行に行く、ということはまずありません。大まかな予算だってあるはずです。
あるいは、お子さまを学習塾に通わせるとき、どのようなことを考えるでしょう。目的(受験・補習)、塾の形態(大手か個人経営か)、人数(団体指導か個別指導か)、金額、立地、お子さまとの相性、先生の指導法、その塾の実績——多くのことを考え、情報を集めるはずです。
しかし、こと葬儀となると、ほとんどの方が事前に、我が家のための情報収集をしていません。あるいは、葬儀をするということを考えたこともない、という方も少なくないのです。
どうしてそのようなことが起こるのでしょう。理由は、主に3つあります。
大切な方のご逝去、あるいはご自身の最期について、考えること自体に抵抗を感じることは珍しくありません。「縁起が悪い」「どなたかと話すにも話題にしづらい」「もう少し後になったら考えよう」——つい、そうやって先延ばしにしてしまいます。
これはごく自然な心の動きです。ただ、その自然さが、結果的に「考えるきっかけを失う」ことにもつながっていきます。
日常生活では、お仕事や家事、子育て、お金のやりくり、健康、ご趣味など、取り組むべきことがたくさんあります。いつか必ず向き合わなければならない——そう分かっていても、「今日でなくてもいいだろう」と、優先順位が後ろに下がりがちです。
「いつかやろう」が10年続き、気づけばご逝去の現場に立ち会っている——そんなお話も、実際によく耳にします。
葬儀って、親族が喪服を着て集まって、お坊さんが来て、よく手順がわからないけれどお焼香して、行儀よくして……でも実際、何をすればよいのだろう。必要なことは何で、不要なことは何か、何をどうすればよいのか、さっぱりわからない——。そういう方は、とても多くいらっしゃいます。
葬儀は人生で何度も経験することではないため、「知らない」のはごく自然なことです。ただし、知らないままご逝去の場面を迎えると、何が選択肢なのかすら分からないまま、流れに身を任せざるを得なくなります。
そして多くの方が、「いざとなったら、葬儀社に聞けばいいか」となってしまうのです。
いざその時、目の前には初対面の葬儀社の方が、初めて見るパンフレットを持って座っています。そして、おおよそ1〜2時間で、葬儀の段取りを決めていくことになります。
葬儀社の方が口にされるさまざまな単語の意味すらよく理解できないまま、
といった選択を、次々にしていかなければなりません。
そこには、落ち着いてものごとを決める余裕があるでしょうか。焦って選んで、満足できるでしょうか。
お客様に寄り添ってくれる葬儀社を数多く見てきましたが、葬儀社というよりも、重要なのは担当者です。同じ会社でも担当者によって、知識・経験・人柄、すべて異なります。担当者の当たり外れがあるのは、葬儀業界に限らず、どんな業界であっても、同じではないでしょうか。同じ手術をするのでも、医者の手腕によって術後の状況は大きく変わるのと同じです。これは責めるべきことというより、人と人が関わる以上、ある程度避けられない現実です。
だからこそ、ご家族の側にも、最低限の知識と、比較できる相手を持っておくことが、大きな安心につながります。
ここで、ひとつ問いかけをさせてください。
いざというとき、目の前に現れる初対面の葬儀社の方が、態度も内容も金額も、過不足なく大満足の葬儀をしてくださる確率は、どのくらいあるでしょうか。
もちろん、これに関して何かデータに基づいた答えがあるわけではありません。けれども、この問いは——
「幼稚園から高校まで一度も塾に行かないで、東京大学に現役で合格する学生は、いったい何人いるでしょうか」——という問いに、少し似ているように思います。
準備をしないことが直ちに失敗を意味するわけではありません。ただ、準備をしている人と、何もしていない人とでは、結果が変わる確率はやはり違ってきます。
「では、何から始めればよいのでしょう」——そう思われた方に、ご家族のペースで取り組める小さな一歩をご提案します。
「決めること」が目的ではありません。「考えたことがある」という事実そのものが、いざというときに大きな支えになります。
ご逝去直後という限られた時間のなかで、初対面の葬儀社と短時間で多くの判断をしなければならないからです。情報を持たないまま流されて決めてしまうと、お別れの後に「もっと違うかたちにできたのでは」というお気持ちが残りやすくなります。
ご家族に寄り添ってくれる葬儀社も多くありますが、業界全体としてすべてが同じ姿勢とは限りません。何も知らない状態で短時間に判断を求められると、納得のいかない選択を重ねてしまうリスクがあるのです。
主に3つの理由があります。死について考えることへの心理的抵抗、日常の忙しさのなかでの優先順位の低さ、そして葬儀そのものの知識がほとんどないこと。この3つが重なって、事前準備が後回しになりがちです。
「親が70歳を過ぎた頃」が一つの目安とされています。元気なうちに、ご家族で話題にしておくこと自体が、すでに大きな備えです。具体的なプランまで決められなくても、希望や考え方を共有しておくだけで、いざというときの判断が大きく変わります。
葬儀社の事前相談を活用するのが、最も負担の少ない第一歩です。複数社の話を聞き比べることで、ご家族の希望に合う葬儀社の見え方や、必要な費用感が具体的にわかってきます。資料請求だけでも構いません。
想送庵カノン(東京都葛飾区立石)では、いざというときの葬儀だけでなく、まだ何も決まっていない段階からの事前相談・カノンカフェ等のセミナーも行っております。「考えたこともなかった」という方こそ、お気軽にご相談いただければ幸いです。
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あなたを忘れない株式会社
代表取締役 三村 麻子(みむら あさこ)
<想送庵カノン(滞在型安置施設)の運営>
故人と家族が「最後に過ごす時間を大切にする」セレモニーホール
<専門学校>
東京ホスピタリティ・アカデミー
葬祭ディレクター学科 講師
<供養コンシェルジュ>
供養コンシェルジュ協会 理事/講師
<看取りサポートのパイオニア>
高齢者を支える家族に
「疲れない介護」「家族が幸せになる看取りと葬送」を提案。
【看取りの水先案内人として幅広く活動】
家族に深く寄り添う相談スタイルで、
生前のご相談から、お見送りのあとのグリーフケアまで
多数の相談実績と活動歴を持つ終活の専門家。
2004年に葬儀式場の運営に携わって以来、
葬送の現場に立ち続けている。
2019年には、安置と面会に重きを置いた施設として
想送庵カノンを開設。
<サポート内容>
生前整理、介護、葬儀、供養、遺品整理、グリーフケア
<著書>
・初めて喪主になる人のための親を心から見送る葬儀ガイド
・親が死んだ5分後にあなたがしなければならないこと
・離れて暮らす親と上手に付き合うための本
・親には一人暮らしをさせなさい
・親の老後に寄り添うために知っておきたいこと
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