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監修:三村 麻子(あなたを忘れない株式会社 代表取締役)
ご家族をご逝去で見送ったあと、最初に迎えるお彼岸は「何をすればよいのだろう」と戸惑う方が少なくありません。昔から「お彼岸はお墓参り」と聞いてきたものの、その意味や由来までは習わずに育ってきた方が多いのではないでしょうか。
この記事では、お彼岸の語源にあたる「到彼岸(とうひがん)」の意味から、春彼岸と秋彼岸の違い、仏教の修行である「六波羅蜜(ろくはらみつ)」の教え、そしてお墓参りに行けない時の過ごし方まで、想送庵カノンがわかりやすくお伝えします。

お彼岸とは、春分の日と秋分の日を中日(ちゅうにち)とする前後3日間、合わせて7日間の仏教行事です。日本独自の風習として、平安時代から続いていると伝わります。
「彼岸」という言葉は、サンスクリット語の「パーラミター(pāramitā)」を漢訳した「到彼岸(とうひがん)」に由来します。直訳すれば「向こう岸へ到る」という意味です。仏教では、迷いや煩悩に満ちた現世を「此岸(しがん)」と呼び、悟りの世界、つまりご先祖様やご家族が安らぐ世界を「彼岸」と呼びます。
お彼岸は、ご先祖様を偲びながら、私たち自身も「向こう岸へ近づくための時間」を過ごす期間と考えられてきました。ただし、宗派や地域、寺院により考え方は異なりますので、一律のルールがあるわけではありません。
要点をまとめると、お盆は自宅にご先祖様の霊を迎える日であるのに対して、お彼岸はご先祖様のいる彼岸へ心を馳せる日と言えます。お彼岸とは、ご先祖様を偲びつつ、私たち自身が悟りの世界に近づくための7日間と位置づけられます。
春彼岸は春分の日(毎年3月20日頃)を中日とする7日間、秋彼岸は秋分の日(毎年9月23日頃)を中日とする7日間です。春分・秋分の日は、太陽が真東から昇り真西に沈む日。仏教では西方に「極楽浄土」があるとされてきたため、太陽が極楽浄土の方向へまっすぐ沈むこの日に、彼岸と此岸が最も近づくと考えられてきました。
仏教行事としての彼岸は先祖のいる彼岸に近づき、思いを馳せるということで春も秋も変わりませんが、春は始まりの季節、秋は収穫の季節ということから、春分の日は厳しかった冬を無事に乗り越えられたことへの感謝と新しい命の芽吹きを讃え、秋分の日は実りに感謝する日といえるでしょう。両日ともに「自然に感謝し、生きとし生けるものをいつくしみ、彼岸に渡った人々をしのぶ日」として、国民の祝日に定められています。
お彼岸というと「お墓参りをする日」というイメージが強いかもしれません。しかし本来のお彼岸は、彼岸(悟りの世界)へ到るために、私たちが日常で6つの行いを意識する修行期間とされてきました。それが「六波羅蜜(ろくはらみつ)」です。難しく聞こえますが、現代の私たちの暮らしにも通じる教えばかりです。
お彼岸の7日間のうち、中日はご先祖様への感謝の日とされ、前後の6日間に1日ずつこの六波羅蜜を意識して過ごす、という考え方が伝わっています。「家族に親切にする」「言いすぎを我慢する」「机の上を片付けてみる」など、小さな行いで構いません。ご先祖様を偲ぶことは、私たち自身のこれからを整える時間でもあるのです。
お彼岸に行うことは、地域・宗派・ご家庭によって少しずつ異なりますが、一般的には次のような過ごし方が広く伝わっています。
お彼岸の代表的な過ごし方がお墓参りです。お墓を掃除し、お花やお線香、故人がお好きだった食べ物などをお供えして、ご先祖様に感謝の気持ちを伝えます。墓石に水をかけたあと、そっと手を合わせる時間が、ご家族にとって心を落ち着ける大切なひとときになります。
お墓が遠方にある場合や、ご事情で外出が難しい場合は、ご自宅のお仏壇に向かうだけでも十分なご供養になります。お仏壇を整え、ろうそくとお線香をあげ、お花やお供え物を新しくして、静かに手を合わせます。ご先祖様を想う気持ちが、何よりのご供養とされています。
お彼岸のお供え物として親しまれてきたのが、もち米とあんこで作られたお菓子です。春のお彼岸は「ぼた餅(牡丹餅)」、秋のお彼岸は「おはぎ(御萩)」と呼ばれます。同じ食べ物に呼び名が変わるのは、春に咲く牡丹(ぼたん)の花、秋に咲く萩(はぎ)の花にちなむためです。
小豆の赤い色には、古来「邪気を払う」意味があるとされ、ご先祖様への感謝とともに、ご家族の健康を願う食べ物としてお供えされてきました。
「遠方でお墓まで行けない」「体調がすぐれず外出が難しい」「小さな子どもがいて時間が取れない」。お彼岸を迎えるたびに、こうした事情で悩むご家族は決して少なくありません。
お墓参りに行けなくてもご先祖様を思う気持ちがあれば、お仏壇のお掃除をするなど形を変えても想いは届くと想送庵カノンは考えます。ご先祖様を想う気持ちは、形を変えても十分に伝わるとされています。
近年は、寺院や霊園が提供する「オンライン墓参り」や、清掃・お花のお供えを代行する「お墓参り代行サービス」も広がっています。お墓詣りが難しい時には、そんなサービスを利用してもよいのではないでしょうか。葛飾区を含む東京下町エリアでも、利用される方が少しずつ増えています。ご事情に合わせて柔軟に選んで無理なくご供養を楽しんで頂きたいです。
お彼岸には「結婚式や引っ越しは避けたほうがよい」「お祝い事は控えたほうがよい」といった言い伝えがあります。これらは仏教の教えというより、地域の慣習として伝わってきた話です。現代では、お彼岸とお祝い事が重なるご家族も少なくなく、絶対に避けなければならないものではありません。
「お彼岸の中日(春分・秋分の日)は、ご先祖様を偲ぶ日に充てたい」というご家庭の考え方を尊重しつつ、ご家族の事情に合わせて柔軟に対応されるとよいでしょう。地域や寺院により考え方は異なりますので、ご不安があれば菩提寺へ相談されることをおすすめします。
葛飾区を含む東京下町エリアは、古くからの寺町文化が色濃く残る地域です。柴又帝釈天や立石近辺の寺院では、春秋のお彼岸に合わせた合同法要や彼岸会(ひがんえ)が営まれ、檀家でなくとも参列できる寺院もあります。地域の催しに参加することも、ご先祖様への想いを形にする一つの方法です。
想送庵カノン(東京都葛飾区立石)は、お別れのその先のご供養についても、ご家族のお気持ちにそっと並走する場でありたいと考えています。お彼岸に何をすればよいかわからない、という戸惑いも、ご家族のご逝去を大切に受け止めていらっしゃる証です。一律の正解はありませんので、ご家族のかたちに合った過ごし方を選んでいただければと思います。
お彼岸の中日は、春は春分の日(毎年3月20日頃)、秋は秋分の日(毎年9月23日頃)です。具体的な日付は年ごとに国立天文台の暦象年表で発表され、その年の祝日として確定します。
お寺へのお布施として包まれる場合、3,000円〜1万円程度が一般的な目安です。ただし宗派・地域・寺院との関係性により大きく異なりますので、菩提寺へ直接ご相談されると安心です。
彼岸花は秋彼岸の頃に咲くことから、その名が付いたと伝わります。仏教では「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」とも呼ばれ、ご先祖様を導く花とされる地域もあります。お墓参りで見かけたら、季節のお導きとしてそっと眺めるとよいでしょう。
お墓参りに行けない罪悪感を覚えるような近しいご関係なら、故人さまもきっと、行けない事情をご理解くださるのではないでしょうか。ご自宅のお仏壇に手を合わせる、お墓の方角に向かって遥拝する、故人がお好きだった食事をご家族でいただくなど、ご自宅でできるご供養も十分に心が伝わるとされています。
浄土真宗では「亡くなった方は阿弥陀如来の本願により即座に浄土へ往生する」と教えられているため、追善供養としてのお彼岸という考え方を取らない傾向があります。ご先祖様への感謝とお念仏を中心に過ごされる、と伝わります。ただし宗派内でも考え方の幅がありますので、所属寺院へ確認されるとよいでしょう。
お彼岸は、ご先祖様への感謝とともに、ご家族や自分自身のこれからを整える時間でもあります。想送庵カノンは、お別れの先にあるご供養についても、ご家族のお気持ちに沿いながらお手伝いをしてまいります。
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あなたを忘れない株式会社
代表取締役 三村 麻子(みむら あさこ)
<想送庵カノン(滞在型安置施設)の運営>
故人と家族が「最後に過ごす時間を大切にする」セレモニーホール
<専門学校>
東京ホスピタリティ・アカデミー
葬祭ディレクター学科 講師
<供養コンシェルジュ>
供養コンシェルジュ協会 理事/講師
<看取りサポートのパイオニア>
高齢者を支える家族に
「疲れない介護」「家族が幸せになる看取りと葬送」を提案。
【看取りの水先案内人として幅広く活動】
家族に深く寄り添う相談スタイルで、
生前のご相談から、お見送りのあとのグリーフケアまで
多数の相談実績と活動歴を持つ終活の専門家。
2004年に葬儀式場の運営に携わって以来、
葬送の現場に立ち続けている。
2019年には、安置と面会に重きを置いた施設として
想送庵カノンを開設。
<サポート内容>
生前整理、介護、葬儀、供養、遺品整理、グリーフケア
<著書>
・初めて喪主になる人のための親を心から見送る葬儀ガイド
・親が死んだ5分後にあなたがしなければならないこと
・離れて暮らす親と上手に付き合うための本
・親には一人暮らしをさせなさい
・親の老後に寄り添うために知っておきたいこと
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