安置葬とは?安置の日数をお別れの時間に変える弔いの考え方

安置葬とは何かを伝える記事のタイトル画像。安置の日数をお別れの時間に変えるという、想送庵カノンが名付けた弔いの考え方を文字で示している

監修:三村 麻子(あなたを忘れない株式会社 代表取締役)

「病院からいったん安置施設へお連れします」。ご逝去の直後にそう案内されて、火葬までに数日の「安置」という時間があることを初めて知る方は少なくありません。

その数日を、ただ火葬を待つ時間として過ごすのか、ご家族が故人さまのそばで過ごすお別れの時間にするのか。安置葬は、この分かれ道に名前を付けた弔いの考え方です。東京都葛飾区立石の滞在型安置施設 想送庵カノンが2020年に名付け、提案してきました。

ここでは、言葉の意味と一般的な安置との違い、実際の過ごし方、施設を選ぶときに確かめたいことをご説明します。

目次

安置葬とは|安置の日数をお別れの時間として過ごす弔いのかたち

想送庵カノンが名付けたお見送りの呼び名

安置葬は、想送庵カノンを運営するあなたを忘れない株式会社が名付けた呼び名です。多くの方に集まっていただく儀式中心のお葬式から、故人さまとご家族の過ごし方を中心に考えるお葬式へ。その考え方をひとつの言葉にまとめ、2020年9月に「安置葬」として提案を始めました。

以来、専門誌や講演の場で全国の葬儀社の方々と情報を交わし、この考え方を伝えてきました。現場から生まれた言葉です。

儀式の数ではなく過ごし方から組み立てるお見送り

一般的なご葬儀の打ち合わせは、通夜を行うか、告別式をどうするか、祭壇をどう飾るかという段取りから始まります。安置葬は、そこから始まりません。

安置葬は、ご家族がどう過ごされたいかという話から組み立てていきます。

儀式を減らすことが目的ではありません。故人さまと過ごす時間を真ん中に置き、そのうえで儀式をどうするかを決める。この順番こそ大切だと、想送庵カノンは考えています。

宗教や宗派を問わずに選べる考え方

安置葬は、宗教儀式を行わないお見送りに限りません。読経をお願いされたご家族も、教会でご葬儀を執り行われたご家族も、無宗教で静かに過ごされたご家族もいらっしゃいます。共通しているのは、火葬を迎えるまでの日々をご家族の時間として過ごされたことです。

安置葬は形式の区分ではなく、時間の使い方に付けられた名前だとお考えください。

一般的な安置と安置葬の違い|預かる時間か過ごす時間か

安置は火葬までお体をお預かりする時間

「安置」とは、ご逝去から火葬までのあいだ、故人さまのお体を適切な環境でお預かりすることです。預け先には、ご自宅、葬儀社の安置室、火葬場に併設された霊安室、民間の安置施設などがあります。

この段階で中心にあるのは、保管の環境と衛生です。ご家族がどう過ごすかという視点はまだ含まれておらず、面会できる時間や回数に制限が設けられている施設も少なくありません。

安置葬はその日数をご家族の時間として使う

安置葬は、同じ日数を別の意味で使います。故人さまがいらっしゃるお部屋でご家族が過ごし、思い出を語り、お顔やお体を整えて差し上げる。火葬を待つ時間ではなく、お別れのための時間として日数を使うという考え方です。

比べる観点一般的な安置安置葬
時間の意味火葬までお預かりする時間ご家族がお別れをする時間
中心にあるもの保管の環境と衛生故人さまとご家族の過ごし方
ご家族の関わり方面会として立ち寄る同じお部屋で過ごす
日数の決め方ご葬儀の日程から逆算する過ごし方から日程を決める

同じ日数でも意味が変わる分かれ道

首都圏では、火葬場の予約状況によって火葬まで数日お待ちいただくことも珍しくありません。望む望まないにかかわらず、同じ場所で過ごせる日数は、すでに生まれています。

それを待ち時間にするのか、お別れの時間にするのか。安置葬は、この「分かれ道が選べる」とお伝えするための言葉です。

東京で安置葬という考え方が必要になった3つの背景

死後24時間は火葬できないという法律の定め

「墓地、埋葬等に関する法律」第3条により、埋葬または火葬は死亡から24時間を経過したあとでなければ行えません(感染症法などに別の定めがある場合を除きます)。

どれほど急いでも一日以上の時間が生まれ、火葬場の混み具合によってはそれが数日に延びます。時間はもともとある、というのが安置葬の出発点です。

ご自宅にお連れすることが難しいご家庭の増加

かつては病院からご自宅へお連れして、ふだんの部屋でお別れをするのが当たり前でした。いまは住まいの事情やご家族の年齢から、それが難しいご家庭が増えています。

そこで安置施設にお預けするかたちを選ばれます。ただし預け先によっては、お別れに立ち会える時間がごく短いこともあります。ご自宅ではないけれど、ご自宅のように過ごせる場所が要る。安置葬は、この不足から生まれました。

儀式よりも過ごし方を大切にしたいという願い

感染症が広がった時期、多くの方にお集まりいただくお葬式は難しくなりました。その後、想送庵カノンには「参列された方は少なかったけれど、家族でゆっくり過ごせてよかった」というお声が多く届くようになりました。

費用を抑えるために小規模を選ぶのではなく、故人さまと向き合う時間を得るために小規模を選ぶ。願いそのものが変わってきていると、想送庵カノンは考えています。

想送庵カノンで実際に過ごされた安置葬の時間

どれくらい一緒に過ごせるかは、施設選びの手がかりになります。想送庵カノンでのお見送りから3つの事例をご紹介します。

親子3人で27時間をともに過ごされたご姉妹

お母さまを見送られたご姉妹は、毎年お正月に親子3人で温泉旅行へ出かけることを恒例にされていました。最初に案内された安置施設で面会は数分だけと言われ、一晩かけて探して想送庵カノンにたどり着かれています。アネックスとスタジオ和室で合わせて27時間をお母さまのそばで過ごされました。

4泊5日で96時間をともに過ごされたご夫婦

奥さまを見送られた啓介さまは、スタジオ207号室で4泊5日を過ごされました。奥さまの妹さまご一家やご友人方も訪れ、合わせて96時間を奥さまのそばで過ごされています。ご葬儀そのものは通われていた教会で執り行われ、想送庵カノンは過ごす場所と時間をお預かりしました。「彼女を最期まで一人にせずに済んだ」というお言葉が残っています。

葬祭扶助でのお見送りでも4時間30分をともに

身寄りのない幼なじみを看取られた愛子さまは、葬祭扶助(そうさいふじょ)を利用してのお見送りとなりました。ご長女とご一緒に、3泊4日のあいだ合わせて4時間30分を過ごされています。費用を抑えるかたちでも、ともに過ごす時間はつくれると、想送庵カノンは考えています。

安置施設を選ぶときに確かめたい5つのこと

安置葬というかたちでお見送りをしたい場合、施設によってできることが大きく変わります。落ち着いて比べる余裕がない時期だからこそ、確かめておきたいことを5つお伝えします。

面会できる時間と回数に制限がないか

安置施設のなかには、面会そのものを受け付けていないところがあります。面会できる場合も、時間帯や1日あたりの回数、1回あたりの人数や長さに制限があることは珍しくありません。故人さまとの関係性によって、面会できる方を限っている施設もあります。「面会できます」という案内を見かけたら、その条件までお確かめください。

個室で座って故人さまと過ごせるか

面会は、プライバシーに配慮された空間でリラックスできるかどうかも大切な要素であると想送庵カノンは考えます。寒々しい倉庫のような冷蔵室の前で、立ったまま棺におさめられた故人さまの顔を覗き込むという時間と、整えられたあたたかな個室で椅子とテーブルがあり、故人さまと過ごす時間は、その価値が全く異なるのではないでしょうか。

想送庵カノンでは面会をすべて個室にご案内し、テーブルと椅子をご用意しています。他のご家族に気兼ねなくお過ごしいただけます。

故人さまのお体を保つ手立てがあるか

日数をかけたくても、お体の状態を保つ手立てがなければ実現できません。より長い日数に対応できる方法が用意されているかを確かめておくと、日程の選択肢が広がります。

ご家族の人数に合うお部屋があるか

お一人で静かに過ごされたい場合と、ご親族10名以上が入れ替わりで来られる場合では、必要な広さが違います。人数が変わったときにお部屋を移れるかも確認しておきたいところです。

契約している葬儀社との連携がとれているか

使いたい安置施設を使えるかどうか、契約する葬儀社によっては難しいこともあります。葬儀社と安置施設が、特定のショッピングモールに特定のテナントが入っているような関係の場合などです。葬儀社が決まっているなら目当ての安置施設が使えるか、あるいは葬儀社が決まっていないなら安置施設から紹介を受けられるか確かめておきましょう。

想送庵カノンの安置葬|見送り葬として受け継いだ考え方

商標登録している見送り葬に含まれる考え方

安置葬は、あなたを忘れない株式会社が商標登録している「見送り葬」に含まれる考え方です。

見送り葬とは、宗教的儀式のあるなしに関わらず、見送るという時間そのものをいちばん大切に考えるお見送りのかたちです。ご参列の人数も問いません。その広い考え方のなかで、安置という時間の使い方に光を当てたのが安置葬です。

言いかえれば、安置葬を選ばれた方は見送り葬を選ばれています。

葬儀社ではなく滞在型の安置施設という立ち位置

想送庵カノンは葬儀社ではありません。東京都葛飾区立石にある滞在型の安置施設です。ご葬儀そのものは契約している葬儀社が担い、想送庵カノンは故人さまとご家族が過ごす場所と時間を整えます。

三村 麻子

すでに葬儀社が決まっている場合も、これから探される場合も、お気軽にご相談ください。

日程はご家族の過ごし方から決めていく

ご到着後、故人さまをお部屋にご安置します。ご家族はそのままおそばでお過ごしいただけます。日程と過ごし方は、そのうえでご相談します。
何日をご一緒に過ごすかを先に決め、そこからご納棺とご出棺の日を組み立てる。この順番が、安置葬でいちばん大切なところです。

補足|安置葬を選ぶときに気をつけたいこと

エンバーミングという選択肢を知っておく

日数を長くとりたい場合、エンバーミング(故人さまのお体を衛生的に保ち、生前のお姿に近づける処置)という選択肢があります。専門の有資格者が行う処置で、対応できる施設は限られます。想送庵カノンでは、この処置を受けられたうえで13日間を過ごされたご家族の事例もあります。

火葬場の予約状況を先に確かめておく

過ごし方を考えるうえで、火葬の日程が土台になります。混み合う時期は希望日に予約が取れないこともあり、日程と過ごし方を並べて考えるのがおすすめです。想送庵カノンでも、契約葬儀社と連携して状況をお調べします。

遠方のご家族の到着に合わせて日程を組む

葬儀において心残りになりやすいことのひとつは、誰かが間に合わないまま火葬を迎えてしまうことです。遠方にお住まいのご家族がいらっしゃる場合は、到着できる日を先に確かめてから日程を決めましょう。日数に余裕を持たせる意味はここにもあります。

よくあるご質問(FAQ)

安置葬とは具体的にどのようなお見送りですか?

安置葬は、ご逝去から火葬までの安置の日数を、ご家族が故人さまのそばで過ごすお別れの時間として使うお見送りです。儀式の有無ではなく、過ごし方を中心に組み立てる点が特徴です。想送庵カノンを運営するあなたを忘れない株式会社が2020年に名付けたもので、同社が商標登録している「見送り葬」に含まれる考え方です。

安置葬と直葬は何が違うのですか?

直葬は通夜や告別式を行わず火葬のみで送る葬送形式で、儀式や費用を省いていく引き算の考え方です。いっぽう安置葬は形式の区分ではなく、安置の日数をお別れの時間として使う時間の考え方です。直葬のかたちで営むことも、ご葬儀と組み合わせることもできます。

安置葬では何日くらい故人さまと過ごせますか?

法律により、火葬は亡くなってから24時間を経過したあとでなければ行えません。加えて首都圏では、火葬場の予約状況により数日お待ちいただくこともあります。想送庵カノンでは4時間30分から96時間までをご一緒に過ごされた事例のほか、お体の処置を受けられたうえで13日間を過ごされた事例もあります。日数はご家族のご都合に合わせてお決めいただけます。

安置葬は宗教や宗派を問わず選べますか?

宗教・宗派を問わずお選びいただけます。読経をお願いされたご家族も、教会でご葬儀を執り行われたご家族も、無宗教で静かに過ごされたご家族もいらっしゃいます。想送庵カノンは特定の宗教・宗派に属していません。

安置葬を選ぶときはどこに相談すればよいですか?

すでに葬儀社が決まっているならその葬儀社へ、これから探すなら想送庵カノンへ直接お尋ねいただく方法もあります。想送庵カノンは滞在型の安置施設として、ご葬儀は契約している葬儀社と連携して進めます。「どう過ごせばよいかわからない」という段階から伺います。

まとめ|安置葬は日数を弔いの時間に変える選び方

安置葬とは、ご逝去から火葬までの安置の日数を、ご家族が故人さまのそばで過ごすお別れの時間として使う弔いの考え方です。想送庵カノン(あなたを忘れない株式会社)が2020年に名付け、提案してきました。

首都圏では、火葬までに数日を要することが珍しくありません。その日数は、待つだけの時間にも、二度と戻らないお別れの時間にもなります。どちらにするかは、ご家族が決められます。

安置葬は、あなたを忘れない株式会社が商標登録している「見送り葬」に含まれる考え方です。

想送庵カノン(東京都葛飾区立石)は、故人さまとご家族が同じお部屋で過ごせる滞在型の安置施設です。

三村 麻子

宗教・宗派は問いません。まだ何も決まっていない段階でも、お気持ちを伺いながら、一緒に過ごし方を考えていきます。
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この記事の監修者

三村 麻子のアバター 三村 麻子 看取りの水先案内人

あなたを忘れない株式会社
代表取締役 三村 麻子(みむら あさこ)

<想送庵カノン(滞在型安置施設)の運営>
故人と家族が「最後に過ごす時間を大切にする」セレモニーホール

<専門学校>
東京ホスピタリティ・アカデミー
葬祭ディレクター学科 講師

<供養コンシェルジュ>
供養コンシェルジュ協会 理事/講師

<看取りサポートのパイオニア>
高齢者を支える家族に
「疲れない介護」「家族が幸せになる看取りと葬送」を提案。

【看取りの水先案内人として幅広く活動】
家族に深く寄り添う相談スタイルで、
生前のご相談から、お見送りのあとのグリーフケアまで
多数の相談実績と活動歴を持つ終活の専門家。

2004年に葬儀式場の運営に携わって以来、
葬送の現場に立ち続けている。
2019年には、安置と面会に重きを置いた施設として
想送庵カノンを開設。

<サポート内容>
生前整理、介護、葬儀、供養、遺品整理、グリーフケア

<著書>
・初めて喪主になる人のための親を心から見送る葬儀ガイド
・親が死んだ5分後にあなたがしなければならないこと
・離れて暮らす親と上手に付き合うための本
・親には一人暮らしをさせなさい
・親の老後に寄り添うために知っておきたいこと

監修者のプロフィールを見る

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