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監修:三村 麻子(あなたを忘れない株式会社 代表取締役)
大切な方が亡くなった後、ご遺体にはさまざまなケアが行われます。その中でも、ほぼ必ず行われるのが「冷却」です。
葬儀の打ち合わせでドライアイス代が計上されているのを見て、「なぜ必要なの?」「なくても大丈夫では?」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし実際には、ご遺体の冷却は故人さまの尊厳を守るために非常に重要な処置です。
今回は、ご遺体ケアの一つである「冷却」について、なぜ必要なのか、ドライアイスが使われる理由、そして冷蔵安置との違いについて解説します。

人が亡くなると、身体のさまざまな変化が始まります。その中でも最初に大きな変化が起こりやすいのが、お腹の中にある腸です。
私たちの腸内には、普段から多くの細菌が存在しています。
生前は免疫機能や血液循環によって身体のバランスが保たれていますが、亡くなるとその働きは停止します。
すると、腸内にいた細菌は生きたまま残り、体内に残された消化酵素や組織を利用しながら活動を続けます。この働きによって、ご遺体の変化、いわゆる腐敗が進行していきます。
そのため、ご遺体の状態を保つためには、できるだけ早い段階で冷却を行うことが重要になります。
ここで知っておきたいのは、冷却をしても腐敗が完全に止まるわけではないということです。
ドライアイスや冷蔵設備によって温度を下げることで、細菌の活動を抑え、変化の進行速度を大幅に遅らせることができます。
つまり冷却の目的は、「腐敗を止めること」ではなく「できる限り遅らせること」にあります。特に近年は火葬まで数日かかる地域も珍しくありません。
その間、ご家族が安心してお別れの時間を過ごすためにも、冷却は欠かせないご遺体ケアの一つとなっています。
ご遺体の冷却には、一般的にドライアイスが使用されます。ドライアイスはマイナス78.5℃という非常に低い温度を持ち、電源も必要ありません。
そのため、
・自宅安置
・葬儀会館での安置
・搬送後の一時安置
など、さまざまな場所で使用できます。
通常はお腹まわりを中心に配置し、ご遺体全体の温度を下げていきます。これは腐敗が始まりやすい腸のある部分を重点的に冷やすためです。
ドライアイスは見た目には単純なものですが、ご遺体の状態を保つうえで非常に重要な役割を担っています。
ご遺体の冷却に使われるドライアイスは、故人さまの状態を保つために欠かせないものです。しかし一方で、取り扱いを誤ると生きている人の命にかかわる危険があります。
ドライアイスは固体の二酸化炭素です。
時間が経つと気化して二酸化炭素ガスになりますが、二酸化炭素は空気より重いため、床付近や低い場所にたまりやすい性質があります。そのため、自宅安置をする場合は十分な注意が必要です。
「最後だから少しでも近くにいたい」
「そばで見守ってあげたい」
そう思われるお気持ちは自然なことです。
しかし、ドライアイスから発生した二酸化炭素が室内に滞留すると、酸素濃度が低下し、重大な事故につながる可能性があります。
特に納棺前のご遺体はドライアイスが露出した状態で使用されることも多く、故人さまのそばで眠ることは避けなければなりません。
また、納棺後も注意が必要です。棺の内部には二酸化炭素がたまりやすくなります。
故人さまのお顔を近くで見ようとして、棺の中に頭を入れたり、顔を深く近づけたりしてはいけません。
短時間でも高濃度の二酸化炭素を吸い込む危険があります。
自宅安置を行う場合は、以下の点を必ず守ってください。
故人さまを大切に思う気持ちはとても尊いものです。だからこそ、ご家族自身の命と安全も守らなければなりません。
葬儀の見積書を見ると、ドライアイス代が記載されていることがあります。費用は地域や葬儀社によって異なりますが、追加分は1日あたり1万円前後が目安です。
また、葬儀プランの中に2〜3日分程度のドライアイス代が含まれていることも多くあります。
ここで誤解してほしくないのは、冷却はオプションサービスというよりも、ご遺体を適切にお預かりするための必須処置だということです。
人体の変化は想像以上に早く進行します。
そのため、冷却については「付けるか付けないか」を検討する性質のものではなく、通常は行うことが前提と考えてよいでしょう。
故人さまの尊厳を守り、ご家族が穏やかにお別れできる環境を整えるためにも、冷却は欠かせません。
ご遺体の状態という観点だけで考えると、最も望ましいのは冷蔵安置設備のある施設でお預かりすることです。
冷蔵安置すればドライアイスを使用しないというわけではありませんが、室温そのものを下げて管理するため、ドライアイスのみの場合よりも安定してご遺体の状態を保つことができます。
冷蔵安置施設では、一般的に2〜3℃程度の低温環境で管理されます。
一方で、「葬儀社に預けているから安心」と思われることもありますが、すべての安置施設に冷蔵設備があるわけではありません。
冷蔵設備のない安置室の場合、ご遺体の保全という観点では、自宅安置と大きな差がないケースもあります。
もちろん、ご家族の負担軽減など別のメリットはありますが、安置先を検討する際には、「冷蔵安置なのか、それとも常温安置なのか」を確認しておくと安心です。
合わせて、故人さまと面会できるかどうかについても確認しておきましょう。
ドライアイスありの場合と比べて、ご遺体の変化が早く進行します。特に気温の高い季節は変化が急速に進むため、冷却は必須です。
完全には止まりません。冷却によって細菌の活動を抑え、変化の進行を遅らせることが目的です。
一般的には腐敗が始まりやすいお腹まわりを中心に配置します。状況に応じて胸部や頭部にも使用されます。
地域や葬儀社によって異なりますが、追加分は1日あたり1万円前後が目安です。葬儀プランに数日分が含まれていることもあります。
ご遺体の状態を保つという観点では、2〜3℃程度で管理される冷蔵安置の方が有利です。ただし、ご家族がお近くで過ごせることなど、自宅安置にも別の価値があります。
亡くなった後の人体は、お腹の中にいる細菌の働きによって徐々に変化していきます。その変化をできるだけ遅らせ、故人さまらしいお姿を保つために行われるのが冷却です。
ドライアイスはそのための重要な手段であり、実質的には必須のご遺体ケアといえるでしょう。
また、可能であれば冷蔵安置設備のある施設を利用することで、より安定した環境で故人さまをお預かりすることができます。
大切な方との限られたお別れの時間を穏やかに過ごすためにも、冷却には大きな意味があります。
想送庵カノンは冷蔵安置設備を備えた滞在型安置施設です。ご遺体ケアやご安置のご相談はお気軽にお寄せください。
本シリーズ「想送庵カノン ご遺体ケアシリーズ(全5回)」は以下の記事で構成されています。あわせてご覧ください。
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あなたを忘れない株式会社
代表取締役 三村 麻子(みむら あさこ)
<想送庵カノン(滞在型安置施設)の運営>
故人と家族が「最後に過ごす時間を大切にする」セレモニーホール
<専門学校>
東京ホスピタリティ・アカデミー
葬祭ディレクター学科 講師
<供養コンシェルジュ>
供養コンシェルジュ協会 理事/講師
<看取りサポートのパイオニア>
高齢者を支える家族に
「疲れない介護」「家族が幸せになる看取りと葬送」を提案。
【看取りの水先案内人として幅広く活動】
家族に深く寄り添う相談スタイルで、
生前のご相談から、お見送りのあとのグリーフケアまで
多数の相談実績と活動歴を持つ終活の専門家。
2004年に葬儀式場の運営に携わって以来、
葬送の現場に立ち続けている。
2019年には、安置と面会に重きを置いた施設として
想送庵カノンを開設。
<サポート内容>
生前整理、介護、葬儀、供養、遺品整理、グリーフケア
<著書>
・初めて喪主になる人のための親を心から見送る葬儀ガイド
・親が死んだ5分後にあなたがしなければならないこと
・離れて暮らす親と上手に付き合うための本
・親には一人暮らしをさせなさい
・親の老後に寄り添うために知っておきたいこと
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