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監修:三村 麻子(あなたを忘れない株式会社 代表取締役)
大切な方が亡くなった後、ご遺体にはさまざまなケアが行われます。その中でも、ご家族の印象に強く残るのが「死化粧」や「メイク」「着せ替え」です。
葬儀の打ち合わせでは、「メイクは必要ですか?」「着替えはした方がいいのでしょうか?」とご相談を受けることがあります。決して安い費用ではありません。
だからこそ、「本当に必要なのだろうか」と悩まれる方も少なくありません。
今回は、ご遺体ケアの一つである死化粧・メイク・着せ替えについて、その内容と意味をお伝えします。

死化粧やメイク、着せ替えは、ご遺体を整えるために行われるご遺体ケアです。一般的には安置後、葬儀社のスタッフや納棺師によって施されます。
内容としては、
・お顔のメイク
・お髪のセット
・おひげ剃り
・お着替え
・お顔やお身体の状態を整える処置
などがあります。
死化粧とメイクは、言葉は違いますが内容は同じです。着せ替えとは、病衣などから仏衣や生前のお気に入りのお洋服、お着物などに着替えさせることです。
死化粧やメイクは女性だけのものではありません。男性の場合も、肌の色味を整えたり、おひげを整えたりすることで、生前の穏やかな表情に近づけるケアが行われます。
故人さまらしいお姿に整え、ご家族が穏やかな気持ちで対面できるようにすることが目的です。
費用は葬儀社によって異なります。
葬儀プランの中に含まれている場合もありますが、オプションとして追加するケースも少なくありません。
死化粧・メイク、着せ替えはオプションのことが多いようです。一般的には、次のような費用が一つの目安です。
・死化粧・メイク・着せ替え:4万円〜8万円程度
・損傷修復などを伴う特殊メイク:15万円以上
費用だけを見ると決して安い金額ではないため、「そこまでしなくてもいいのでは」と思われるご家族もいらっしゃいます。そのお気持ちも、ごく自然なものだと思います。
死化粧やメイク・着せ替えは、故人さまのために行うものと思われがちです。もちろん、故人さまの尊厳を守るという意味があります。しかし実際には、それだけではありません。
私たちは現場で、遺族のための時間でもあると感じています。亡くなる前後の時間は、とても慌ただしいものです。
危篤の連絡、病院への駆けつけ、看取り、医師による死亡確認、搬送、安置。大切な人を失った悲しみを感じる間もなく、多くのことが次々と進んでいきます。
ご家族は心が追いつかないまま、ただ流れに身を任せていることも少なくありません。
メイクや着せ替えが終わり、ご家族が故人さまと対面したとき。私たちは何度も同じような言葉を聞いてきました。
「わぁ、きれいになって、よかった」
この言葉には、単なる見た目の話以上の意味があるように感じます。病気や入院生活によってやつれてしまったお姿。最期の苦しそうな表情。
そうした記憶が、ご家族の中には強く残っています。
しかし、メイクや着せ替えによって故人さまらしいお姿が整うと、「ああ、この人だった」と思い出せる瞬間があります。
そこには、やっと本来の故人さまを取り戻せたような安堵があります。
メイクや着せ替えには、もう一つ大切な意味があります。それは、ご家族が立ち止まる時間をつくることです。
亡くなってからの時間は、本当に慌ただしく過ぎていきます。
けれど、整えられた故人さまのお顔を見つめていると、ふっと時間の流れが緩むことがあります。
「ありがとう」「お疲れさま」「よく頑張ったね」
そんな言葉が自然に出て、故人さまとゆっくりしたひとときを過ごす。そんな方も少なくありません。
メイクや着せ替えは、単なる美容処置ではありません。
故人さまと向き合う時間をつくり、遺族の心が少しずつ落ち着いていくための大切なご遺体ケアだと、想送庵カノンは考えます。
メイクや着せ替えは、有料であることが多いです。そのため、「そこにお金をかけるべきだろうか」と迷われる方もいらっしゃいます。
しかし、私たちは現場で数多くのお別れに立ち会ってきた経験から、死化粧や着せ替えには費用以上の価値があると考えています。
もちろん、葬儀の考え方はご家族それぞれです。何を大切にするかに正解はありません。
それでも、もし予算の都合で何かを削らなければならないのであれば、最後まで残していただきたいオプションだと私たちは思っています。
ご家族の記憶に残るのは祭壇の大きさではなく、最後に見た故人さまのお顔です。
亡くなった後は、目や口が閉じていないこともあります。
病気や治療の影響によって、お顔つきが大きく変わってしまうこともあります。
その姿を見て、ご家族が強い悲しみに包まれることも少なくありません。
一方で、丁寧に整えられた故人さまのお顔に対面したご家族からは、
「安心しました」
「いつもの顔に戻ったみたい」
「きれいになってよかった」
という言葉をいただくことがよくあります。そこには、「見た目が整ったこと」以上の意味があります。
メイクや着せ替えは、悲しみの中にいるご家族が、ようやく故人さまと向き合い「お別れ」を始められる瞬間です。その安堵や安らぎを金額で測ることはできません。
私たちは、メイクや着せ替えによって得られるその時間には、プライスレスな価値があると考えています。
一般的にはほぼ同じ意味で使われます。故人さまのお顔を整え、生前に近い印象にするための処置です。
はい。男性の場合も肌色を整えたり、眉やおひげを整えたりする処置が行われます。
必須ではありません。ただし故人さまらしい服装に整えることで、ご家族が穏やかな気持ちでお別れできることがあります。
事故や病気などでお顔やお身体に大きな変化がある場合に行う修復処置です。通常の死化粧より専門的な技術が必要になります。
費用だけでなく、「どのような姿でお別れしたいか」という視点で考えることをおすすめします。ご家族にとって大切な時間になることも少なくありません。
死化粧やメイク、着せ替えが必要かどうか、迷われるご家族もいらっしゃるでしょう。もちろん、すべての方が行わなければならないものではありません。
しかし私たちは現場で、「やってよかった」という言葉を数え切れないほど聞いてきました。故人さまの尊厳を守ること。そして、残されたご家族の悲しみを少し和らげること。
死化粧や着せ替えには、その両方の意味があります。
費用の有無だけで判断するのではなく、どのようなお別れの時間を過ごしたいかという視点で考えてみてはいかがでしょうか。
想送庵カノンでは、お別れの時間を大切にできるご安置・ご面会をご案内しております。死化粧・着せ替えのご相談も承ります。
本シリーズ「想送庵カノン ご遺体ケアシリーズ(全5回)」は以下の記事で構成されています。あわせてご覧ください。
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あなたを忘れない株式会社
代表取締役 三村 麻子(みむら あさこ)
<想送庵カノン(滞在型安置施設)の運営>
故人と家族が「最後に過ごす時間を大切にする」セレモニーホール
<専門学校>
東京ホスピタリティ・アカデミー
葬祭ディレクター学科 講師
<供養コンシェルジュ>
供養コンシェルジュ協会 理事/講師
<看取りサポートのパイオニア>
高齢者を支える家族に
「疲れない介護」「家族が幸せになる看取りと葬送」を提案。
【看取りの水先案内人として幅広く活動】
家族に深く寄り添う相談スタイルで、
生前のご相談から、お見送りのあとのグリーフケアまで
多数の相談実績と活動歴を持つ終活の専門家。
2004年に葬儀式場の運営に携わって以来、
葬送の現場に立ち続けている。
2019年には、安置と面会に重きを置いた施設として
想送庵カノンを開設。
<サポート内容>
生前整理、介護、葬儀、供養、遺品整理、グリーフケア
<著書>
・初めて喪主になる人のための親を心から見送る葬儀ガイド
・親が死んだ5分後にあなたがしなければならないこと
・離れて暮らす親と上手に付き合うための本
・親には一人暮らしをさせなさい
・親の老後に寄り添うために知っておきたいこと
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