第8回カノンカフェ開催レポート|遺言書の種類と失敗しない書き方

第8回カノンカフェのアイキャッチ画像。遺言書の種類と書き方、はじめての遺言書講座をテーマに開催しました

監修:三村 麻子(あなたを忘れない株式会社 代表取締役)

2023年4月15日(土)、想送庵カノンで第8回カノンカフェを開催しました。テーマは「大切な方へのラストレターとしての遺言書の作り方」です。

前回に引き続き、行政書士の勝桂子(すぐれけいこ)先生を講師にお迎えしました。当日はあいにくの小雨模様でしたが、多くの皆さまにご参加いただき、熱心に耳を傾けてくださいました。ご来場くださった皆さま、ありがとうございました。

目次

開催概要

開催日時

2023年4月15日(土)10時から12時

会場

想送庵カノン
〒124-0012 東京都葛飾区立石8-41-8
TEL:03-5875-7381

アクセス

京成線「青砥駅」より徒歩約12分。お車でお越しの方は、近隣のコインパーキングをご利用ください。

参加費

無料です。お飲み物と茶菓をご用意しました。

個別相談

セミナー終了後、ご希望の方を対象に約30分の個別相談を実施しました(先着2組・事前申込制)。

第8回カノンカフェの告知チラシ。2023年4月15日開催、テーマは遺言書の作り方

今回のテーマ

遺言書は財産が多い人だけが作るもの。そう思っていらっしゃる方は少なくありません。

けれども実際にご相談を受けていると、金額の大小ともめごとの有無はあまり関係がないと感じます。むしろ、分けられる財産が少ないほど調整が難しくなることもあります。

第8回であえて「ラストレター」という言葉を掲げたのは、遺言書を手続きの書類としてだけ捉えてほしくなかったからです。誰に何を遺すかという結論の裏には、必ず理由があります。その理由を言葉にして残しておくことが、ご家族にとって何よりの支えになる。そういう視点でお話しいただきました。

以下は当日、勝先生にご説明いただいた内容のご紹介です。個別の事情によって扱いは変わりますので、実際に作成される際は専門家にご相談ください。

セミナーの内容

遺言書が家族を守るという役割

勝先生はまず、遺言書の役割を整理されました。

遺言書があることで相続の手続きが円滑に進み、ご家族の間のトラブルを未然に防げる場合があると説明されました。手続きが早く終わるということは、ご遺族が悲しみと向き合う時間を確保できるということでもあります。事務作業に追われずに済むこと自体が、遺された方への配慮になるというお話でした。

遺言書がないと何が起こるのか

印象的だったのは、遺言書がないことで仲のよかったご兄弟姉妹の間に思わぬトラブルが生じるケースも少なくないというお話でした。

もともと仲が悪かったわけではありません。判断の基準がないまま話し合いを始めるため、それぞれの言い分がぶつかってしまう。誰かが悪いのではなく、拠りどころがないことが原因なのだと、具体例を交えて説明されました。

遺言書が特に必要になるケース

どのような場合に遺言書の役割がより重要になるかも挙げていただきました。

相続の手続きをできるだけ早く進めたい場合、相続人同士でもめてほしくない場合、離婚や養子縁組などでご家族の関係が複雑な場合、そしてお子さまのいらっしゃらないご夫婦の場合です。とくに最後のケースは、想定外の方が相続人になることがあるため、あらかじめ確認しておいてほしいと強調されていました。

自筆証書遺言と公正証書遺言の違い

遺言書の種類についても解説していただきました。

自筆証書遺言はご自身で作成できる手軽さがある一方、形式に不備があると効力が認められない場合があります。公正証書遺言は公証人が関わるため費用はかかりますが、法的な確実性が高いという特徴があります。費用はかかるものの、確実性の高い公正証書遺言を作成しておく意義について、勝先生は具体例を交えて丁寧に説明されました。

付言事項で想いを伝える

今回のテーマの核心にあたるのが、この付言事項というしくみです。

遺言書には、法的な効力を持つ内容とは別に、ご家族へのメッセージを書き添えることができます。ありがとう、これからも仲よく暮らしてほしい。そうした言葉に法的な拘束力はありません。それでも、なぜこの分け方にしたのかという理由がご本人の言葉で書かれていれば、受け取る側の気持ちはまったく違ってきます。ここが遺言書をラストレターと呼ぶゆえんだと感じました。

ご自身の意思をあらかじめ書き残しておくという点では、終末期の医療についての希望も同じです。尊厳死宣言をご家族とどう共有しておけばよいかは、こちらの記事でご紹介しています。

当日の様子

講演のあとには参加者の皆さまから多くのご質問が寄せられました。

講師と参加者が一緒になって考える、カノンカフェらしい座談会のような時間になりました。こんなことを聞いてもよいのだろうかと迷うような疑問こそ、その場で解消していただきたいと考えています。

小雨のなかお越しくださった皆さまが、最後まで熱心にメモを取られていたことが印象に残っています。

今回の気づき

遺言書は、財産を誰に残すかを決めるためだけのものではありません。

ありがとう。これからも仲よく暮らしてほしい。そうしたご家族への感謝や願いを伝える、人生最後のメッセージでもあります。法律の手続きだけでは伝えきれない想いを言葉にして残しておくことが、ご家族にとって何よりの心の支えになることもあります。

終活とは財産の整理だけではなく、大切な方へ想いを届ける準備でもある。改めてそう感じる機会となりました。

講師紹介

第8回の講師は、行政書士の勝桂子(すぐれけいこ)先生です。

行政書士、葬祭カウンセラー、ファイナンシャルプランナーの資格をお持ちで、任意団体「ひとなみ」を主宰されています。遺言、相続、成年後見、死後事務委任など、終活とエンディングの分野で第一人者として活躍されてきました。

多数の講演と相談の実績をお持ちで、終活をもっと身近に、わかりやすくをテーマに情報を発信されています。第7回の墓じまいに続いてのご登壇となり、制度の説明にとどまらずご家族の気持ちまで踏まえたお話に、今回も多くの気づきをいただきました。

カノンカフェで大切にしていること

カノンカフェでは、専門家による講演だけで終わるのではなく、参加者同士や講師との対話を大切にしています。

こんなことを聞いてもいいのかなと思うような疑問でも、気軽に相談できる雰囲気づくりを心がけています。専門家に直接聞ける機会は多くありません。だからこそ、遠慮なく質問していただける空気をつくることが私たちの役目だと考えています。

終活は一人で悩むものではありません。地域の皆さまと一緒に学び、不安を安心へ変えていく場として、これからもカノンカフェを開催してまいります。

次回のカノンカフェについて

第9回カノンカフェは、2023年7月9日(日)10時から12時まで、「理想的なお葬式のつくり方」をテーマに開催します。

講師は想送庵カノン代表の三村麻子が務めます。これまで数多くのご家族のお別れに寄り添ってきた経験をもとに、どのようなお葬式が自分たちらしいのか、ご家族が後悔のないお見送りをするために何が大切なのかを、実際の事例を交えてお話しします。

参加費は無料です。お申し込みは、お電話(03-5875-7381)またはFAX(03-5875-7382)で承ります。

よくあるご質問(FAQ)

遺言書は必ず作ったほうがよいのでしょうか?

必須ではありません。ただ勝先生からは、ご自身の意思を明確に伝えご家族の負担を減らすうえで有効な手段だとご説明がありました。財産の多さに関係なく検討する価値があります。

自筆の遺言書と公正証書遺言は何が違いますか?

自筆証書遺言はご自身で作成できますが、形式に不備があると効力が認められない場合があります。公正証書遺言は公証人が関わるため費用はかかりますが、法的な確実性が高いとご説明がありました。

遺言書に家族へのメッセージも書けますか?

はい。法的な効力を持つ内容とは別に、付言事項としてご家族への感謝や想いを残すことができます。第8回でお話しいただいた内容の核心にあたる部分です。

子どもがいなくても遺言書は必要ですか?

お子さまのいらっしゃらないご夫婦の場合は、遺言書の役割がとくに重要になるケースがあるとご説明がありました。想定外の方が相続人になることもあるため、一度ご確認ください。

カノンカフェは初めてでも参加できますか?

はい。終活について初めて学ぶ方にもわかりやすい内容ですので、安心してご参加ください。

まとめ

第8回カノンカフェでは、勝先生から遺言書の役割と、公正証書遺言を作成しておく意義についてお話しいただきました。

遺言書は財産を引き継ぐための書類であると同時に、大切なご家族へ感謝や想いを伝える人生最後のメッセージでもあります。付言事項という形で理由を書き添えておけば、遺された方が納得して受け止められる。この一点だけでも、知っておく価値のあるしくみだと感じました。

まだ早いと思っている方こそ、元気なうちに考えていただきたいテーマです。想送庵カノンは、これからも地域の皆さまが安心して未来に備えられる場をつくってまいります。

三村 麻子

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この記事の監修者

三村 麻子のアバター 三村 麻子 看取りの水先案内人

あなたを忘れない株式会社
代表取締役 三村 麻子(みむら あさこ)

<想送庵カノン(滞在型安置施設)の運営>
故人と家族が「最後に過ごす時間を大切にする」セレモニーホール

<専門学校>
東京ホスピタリティ・アカデミー
葬祭ディレクター学科 講師

<供養コンシェルジュ>
供養コンシェルジュ協会 理事/講師

<看取りサポートのパイオニア>
高齢者を支える家族に
「疲れない介護」「家族が幸せになる看取りと葬送」を提案。

【看取りの水先案内人として幅広く活動】
家族に深く寄り添う相談スタイルで、
生前のご相談から、お見送りのあとのグリーフケアまで
多数の相談実績と活動歴を持つ終活の専門家。

2004年に葬儀式場の運営に携わって以来、
葬送の現場に立ち続けている。
2019年には、安置と面会に重きを置いた施設として
想送庵カノンを開設。

<サポート内容>
生前整理、介護、葬儀、供養、遺品整理、グリーフケア

<著書>
・初めて喪主になる人のための親を心から見送る葬儀ガイド
・親が死んだ5分後にあなたがしなければならないこと
・離れて暮らす親と上手に付き合うための本
・親には一人暮らしをさせなさい
・親の老後に寄り添うために知っておきたいこと

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